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Case
株式会社天地人
東京都中央区
静止衛星ひまわりと低軌道地球観測衛星による観測データを組み合わせることで高頻度で高解像度な地表面温度情報の作成に成功。2023年より市場投入し、「宇宙水道局」というソリューション名で国内外の水道事業体に対して事業展開。

Overview
事業概要

地球温暖化と都市化に伴い、都市部においてヒートアイランド現象が顕在化してきており、その影響をモニタリングするために人工衛星による地表面温度情報が有効だと考えました。SBIR推進プログラム(フェーズ1)及び国土交通省 交通運輸技術開発推進制度(フェーズ2)を活用して、地表面温度を観測できる衛星は静止衛星や低軌道地球観測衛星など複数あることから、それぞれの強みを活かしたデータ融合、そしてデータ解析にチャレ ンジしました。

Current Location
事業化に向けた現在地

SBIRフェーズ1・フェーズ2における、衛星データ解析等を通じて、高精度かつ高頻度な地表面温度情報の生成に成功したことから、当初のモニタリング目的だけではなく、ソリューションとして社会課題に役立てる道を検討しました。その結果、地表面温度情報を分析の観点として活用した、水道管のAI管路診断技術の開発に着手し、2023年より市場投入。現在は「宇宙水道局」というソリューション名で国内外の水道事業体に対して展開中です(https://suido.tenchijin.co.jp/)。
Awareness of Issues
事業化に向けた課題認識
SBIR推進プログラムを通じて、活用の可能性が広い要素技術である「地表面温度情報」を開発できたことで、水道インフラ管理、再生可能エネルギー適地探索、営農支援など、様々な社会実装の道筋を見出すことができました。社会実装に向けては、対象分野毎にカスタマイズしたAIモデルの構築や、優れたUI/UXのアプリケーション開発が優位性になると考え、ユーザー課題に粘り強く向き合う姿勢が大切だと考えていたとともに、気温とは異なる概念である、「地表面温度情報」という言葉を世の中に浸透させることが課題であると感じていました。
Turning Point
本事業を通じた課題解決の分岐点
「地表面温度情報」という言葉を世の中に浸透させるため、情報発信を推進しました。一例としては、猛暑が続いた2024年夏ですが、SBIR推進プログラムを通じて開発した、日本全土の地表面温度情報を連日『X』にて投稿した結果、地面の熱さが話題になりました。また、政府の水循環政策本部会合(第7回)にて閣議決定された新たな「水循環基本計画」においても水道インフラ問題へのDXソリューションとして地表面温度情報の活用が明記され、これがブレークスルーとなり、弊社の技術がより多くの人々の注目を集めることになりました。
プロジェクトを進めるにあたり、NEDOの担当者やアドバイザーの皆様には、プロジェクト管理に関するご助言のみならず、データを社会実装するための道筋やヒントについても多くのアドバイスを頂戴しました。特に「地表面温度」という情報は、当時(現在も)比較的馴染みの薄い概念であったことから、初期フェーズから出口に向けたアドバイス(インフラ業界の協業やデータ統合についての助言など)を頂戴できたことが大変心強かったです。
Action for the Future
事業の実現化に向けたアクション
既にサービスインしている「宇宙水道局」について、営業メンバーを拡充し、より多くのお客様へ価値を 届けることができるよう(SBIR成果を広げることができるよう)、取り組んでいきたいと思っています。また、再生可能エネルギー適地探索等、さらなる横展開を検討していきます。
Message
これから応募される事業者へのメッセージ

SBIR推進プログラムを通じて、応用性があり強い要素技術を研究開発できたことが、弊社としては非常にありがたかったです。これから応募される方は、社会実装を目指す粘り強さと情熱をもって応募していただければ、きっと素晴らしい成果にたどりつくと思います。
