
SBIR推進プログラムの特徴

木下 太郎
UntroD Capital Japan株式会社
Growth Manager
経済産業省SBIRプログラム・マネージャー
素材メーカーでの材料開発や新規事業として医療用素材の欧州・東南アジア展開を主導。2017年にリアルテックホールディングス(現UntroD)に参画し、シード期スタートアップへの知財戦略支援を行うPatentBoosterや、UntroD初となるカンパニークリエーションとして東京核酸合成の創業などを手掛ける。2021年から経済産業省SBIRプログラム・マネージャーとして参画。
SBIR推進プログラムへのおもい
SBIR事業は日本のスタートアップがグローバルに飛躍するためのきっかけを与えることができる貴重な事業だと考えています。私は日本版SBIR制度の見直しから取り組み、見直し後の運用が開始された2022年の「新SBIR制度」発足当初からPMとして参画しています。
政策課題の解決、社会課題の解決を実現するための準備が整い、次はスタートアップの皆さんにSBIRを活用いただくフェーズです。ぜひ積極的な応募やご質問・コメントをよろしくお願いいたします。
SBIRは政策課題を解決する技術開発を支援することを目的とし、政府調達によるビジネス機会創出も目指す事業です。日本版SBIRが参考とした米国SBIRでは、クアルコムやギリアド・サイエンシズ、iRobot等のグローバルに影響力を持つ企業を輩出した実績があります。SBIR事業は従来の助成事業とは異なり、社会課題を踏まえて具体的な政策課題が設定され、その解決を目指すスタートアップに助成を行うことで、社会課題を解決することが大きな特徴です。
私は経産省PMとして、SBIRで開発した製品を政府が最初に購買する「政府調達」を行うことで、スタートアップの大きな課題であるファーストカスタマーの獲得を実現し、実績を基に民間でのビジネスの拡大を実現することに最も注力しています。
SBIRはスタートアップが事業を推進しながら政策課題、最終的に大きな社会課題を解決することを実現する稀有な取り組みです。社会への大きなインパクトを生み出すスタートアップの皆さんと共に取り組めることを楽しみにしています。
NEDOのSBIR推進プログラムの特徴の一つに、採択事業者の事業成果を高める「伴走支援」があります。
この伴走支援は採択事業者が交付決定時に設定したゴール(あるべき姿)に向けて事業を推進するにあたり、事業者のみなさまが抱えている課題、ご相談の内容に応じて、技術面や事業化面の専門知識を有するメンター等を派遣するものです。
サポート内容は、「技術」「事業」「人材」「制度」「社会受容」の5つの観点で整理しており、課題感に応じて個別に支援メニューを調整します。
フェーズ1
フェーズ2
応募者像
対象となる研究開発課題を解決するための明確な構想を持ち、自社の技術シーズを発展させ、事業化に取り組もうとするスタートアップ等
フェーズ1の成果等を前提とした実用化開発を行い、事業化※を実現することにより政策課題を解決しようとするスタートアップ等
取組み内容
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対象となる研究開発課題の解決に資する技術シーズを有するスタートアップ等が、事業化に向けて必要となる基盤研究のための概念実証(POC)及び実現可能性調査(FS)を実施する
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POC及びFSを通じて有望な事業化計画書(ビジネスモデル、収益計画、VC調達計画等を含む)を練り上げる
対象となる研究開発課題の解決に資する技術シーズを有し、POC・FSを完了しているスタートアップ等が、事業化に向けた研究開発を実施する。
ゴール
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POC及びFSを通じた事業化※に必要な技術課題が明確となり、かつその一部について明確な進展があること
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有望な事業化計画書が策定できていること
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事業化に必要な技術的課題の大部分が解決している、或いは目処が立っていること
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事業化※に向けた具体的な体制が構築できている、或いは目処が立っていること(フェーズ2終了から5年以内の事業化※を目指す)
※本事業において事業化とは、事業終了後に生産・販売等を開始することにより、継続的に売上げが発生することを指します
観点
サポート内容
技術
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研究開発の目標設定
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技術開発、他社との差別化に係るアドバイス等
事業
人材
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技術開発、事業化、法務等に当たる必要な人材の紹介等
制度
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開発する技術や検証が法務整備上問題ないか、制度上問題ないかの確認
社会受容
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事業成果ポータルサイト掲載
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各種媒体における広報等